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Tigran Hamasyan ♪「Red Hail」

2014年02月12日 22:58

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【Artist】Tigran Hamasyan >facebook<
【Title】Red Hail
【Rate】9/10

Experimental / Jazz

東欧はアルメニア出身のジャズピアニスト:Tigran Hamasyan(ティグラン・ハマシアン)による、2009年発表の3rdアルバム。今作はピアノ・ドラム・ベース・サックス・ヴォーカルの構成を基本とし、何曲かではギターも参加している。

軽やかに跳ねるピアノに続き伸びやかな女性ヴォーカルが入る#1「Shogher Jan (Dear Shogher)」で幕を開ける今作。波打つようなリズムも変則的ながら心地良く、9分という長尺ながら、さらっとした肌触りが長さを感じさせない。ショットバーで流れていそうなオシャレなジャズピアノ、といった風情だが、どうやらアルメニアのフォークソングを基にした曲との事。ヴォーカルのメロディーはなるほど独特な浮遊感でエスニックな香りは確かにジャズのイメージではない。
そして次の曲で、さらにジャズのイメージから離れていく。
恐怖感を煽るか細いピアノから、叩きつけるような旋律でサックスが複雑なリズムでもつれにもつれる#2「Red Hail (of Pomegranate Seeds)」。シンコペーションを多用し拍子を狂わせる奇妙なグルーヴと、ヘヴィメタル、スラッジコアに通じる攻撃的な低音の応酬に、清涼感は皆無。

柔らかなタッチで幕を開けながら、中盤で豹変し不穏な空気を撒き散らす#6「Sibylla」、シンセサイザーのつるりとした音と全編に渡って泳ぎ回るサックスが印象的な#9「Part 2: Moneypulated」など、ハードロック・バップジャズ・アルメニア民謡・スラッシュメタル他、一見バラバラな音楽達から影響を受けて表現されるピアノは一筋縄では行かない。
螺旋階段を下り続けるように刻むメタリックなギターリフを主軸にした#7「Corrupt」、颯爽としたフュージョンの攻撃性を持った#11「The Awakening of Mher (Mithra)」など、ギターの参加した曲の存在感も強い。そしてどの曲にも、独特なリズム感覚が波打っている。素直にはノらせてくれないグルーヴが、なんともいえない酩酊感を誘う。

ここ数年で、メタルを内包したジャズ・ジャズを内包したジャズという視点で捉えられる作品が増えてきているように思う。そんな中で今作を聴くと「ジャズから垣間見るプログレッシヴメタルの風景」という、稀有な立ち位置を感じさせてくれる。変なピアノジャズで片付ける訳には行かない、沢山の発見が隠れた傑作。

【for fan of what ?】
Led Zeppelinのリフをピアノで弾く幼少を経て、10代の頃にはKeith Jarrettのピアノを通してアルメニア音楽に触れたという。一方でMeshuggahSystem of A Downに強く敬意を表しているTigran氏。インタビューでも「Meshuggahみたいな曲を作りたい気持ちが表出した」と語られた今作は、プログレッシヴメタルのファンに幅広くお勧めしたい。
特にFredrik Thordendal氏のソロプロジェクトが好きな方、T.R.A.M.の様な「Djazz」ムーヴメントを好むかた、Zuの様なJazzcore愛好家はゼヒ。

【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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Thank You Scientist ♪「Maps of Non​-​Existent Places」

2013年03月01日 20:40

Thank You Scientist
【Artist】Thank You Scientist >facebook<
【Title】Maps of Non-Existent Places
【Rate】10/10

Progressive / Rock

何処でもない場所の地図を辿るような高揚を貴方に。
アメリカはニュージャージー州出身の7人組プログレ集団による、2012年発表の2nd作。
アカペラで始まる、アルバム冒頭の#1「Prelude」。曲のタイトルも相まって、非常に「プログレッシヴ・ロック」という印象を与える幕開けです。
が、しかし!
続いての#2「A Salesman's Guide to Non-existence」ではオルタナロック然としたギターで快活にスタートし、さらに次々とブラス隊、オーケストラのサウンドが合わさり、ヴォーカルが入ればその声はさらりと爽やかという極め付け。一気に彼らの世界観へと引き込まれていきます。

さて、この7人の大所帯。内訳はというと、ヴォーカル・ギター・ドラム・ベースというスタンダードな4人ヴァイオリン/ヴィオラ・サックス・トランペットの3人がプラスしていると言った風情。この特殊編成でありながら全く消化不良な印象は無く、しっかりと武器にした楽曲が粒ぞろいです。
キメの連続するハードボイルドなクラブジャズが脳をこれでもかとシェイクし、チラチラと顔を見せるロックな佇まいにニヤリとしている間にするりファンクへと変貌する#3「Feed the Horses」は後半につれ緩急を増していけばさらに新しい顔を覗かせ、スペインのマリアッチを匂わせるトランペットで始まる#4「Blood on the Radio」は、気が付けばポリリズミックなリフでぐるぐると攻めるヘヴィな色が際立つ。都会派フュージョンを主軸にした今作唯一のインストナンバー#6「Suspicious Waveforms」は様々な楽器の掛け合いがこれでもかと楽しめ、幻想的に始まる#8「Concrete Swan Dive」は力強いバラード調であり、全編に渡りヴァイオリンの旋律が表に出るワルツナンバーでもある。そしてラスト#10「My Famed Disappearing Act」は冒頭からギターのタッピングによる鮮烈なリフが繰り出され、ドラムの重さも際立っったフュージョンメタルな一曲。長いギターソロも堂々と、始終音圧を感じられるパワフルなフィナーレ。

全編に渡ってフックの効いたリフを揃え、しかもどのリード楽器がメインを張るかで音の輪郭がまるで違って聴こえてくる新鮮さ。テクニカルな演奏と緻密で幅広い曲展開は正にプログレッシヴ!な佇まいでありながら、始終失われない勢いとクセの無いハイトーンヴォーカルが絶妙にバランスを取っています。
予想できない曲の流れと、聴くたびに発見のあるアンサンブルのかみ合わせ。成程確かにタイトル通り、どこでもない場所の地図を辿っていく様なワクワクする逸品でありました。(綺麗にまとまった!

【for fan of what ?】
プログレファンに向けたオススメとしてはこちら、カケハシレコードさまの紹介に詳しいです。ほとんどの曲が6分前後、最長で9分半という長尺であるところも非常にプログレ的で、複雑な展開を好む御仁には打ってつけです。
そして筆者は今作を、どちらかというとポストハードコアとして気に入った節があります。ヴォーカルの声質と疾走感からはThe Fall Of Troyを、ブラス隊の活躍っぷりからはRx-Banditsを連想させ、彼らのファンには強くお勧めです。あとは、雑多な音楽要素の内包した大所帯、という意味ではDiablo Swing Orchestraなども割とリンクします。

【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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T.R.A.M. ♪「Lingua Franca」

2012年03月26日 02:19

tram_linguafranca.jpg
【Artist】T.R.A.M.  >facebook<
【Title】Lingua Franca
【Rate】9/10

Progressive

ギターの2人はAnimals As LeadersからTosin Abasi&Javier Reyes両氏。サックスにフルート、バスクラリネット、パーカッションと多彩な彼はThe Mars VoltaからAdrian Terrazas氏で、ドラムにはSuicidal TendenciesEric Moore氏。一見バラバラな4人が集まり、名前の頭文字を取って付けられたバンドT.R.A.M.による、2012年作1stEP。

ディストーションの掛からないシンプルなギターに、ビリヤードや首都高速を想像してしまいそうな堂々としたサックス、限りなく繊細でタイトなドラム。それぞれの出身バンドで聴く事の出来るメタルの、ラテンの、ハードコアの要素からは遠く離れたサウンドはとても新鮮です。端々から、「思いっきりフュージョン・ジャズをやろう!」という意思が見える様な、清涼感・クールな洒落っ気に溢れた音。

ただ、音の全体像こそ違っていますが、やはりクセモノが終結しただけはあります。
#1「Seven Ways Till Sunday」のイントロで挨拶代わりに刻まれる、裏拍を強調した複雑なリズムとノリを持つリフ。
冒頭こそ高揚感のある#2「Consider Yourself Judged」でも、おもむろにシフトダウンしてからの、うだるような酩酊感をまき散らすサックス。
そしてそれぞれの出自が色濃く出た#3「Endeavor」。透明感と蒸し返す熱気、前のめりな勢いが共存しています。なんという異種交配。
歌は無く、女性ヴォーカルのものと思しきさらりとした歌詞の無い歌声が時折乗る程度。これもまた良いアクセントで、硬質なロックのビートにフュージョンの風を混ぜてくれています。

現在、プログレッシヴメタルの中で一定の市民権を得ているジャズ/フュージョンの要素。今作はその要素をクローズアップした音とも、逆にフュージョンの側からメタルの攻撃性を取り込もうとした結果の音とも捉えらる事ができそうです。

【for fan of what ?】
参加メンバーの名前を知っていれば御一聴あれ。
あと、この界隈でDjentとJazzをもじった「Djazz」というジャンルも形を成そうとしている様です。そういう新し物好き、クロスオーヴァー好きな御仁にはうってつけ!

筆者のごくごく僅かなジャズ方面の知識から、ベーシストStanley Clarkeの名前も出しておきます。

【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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Tides Of Man ♪「Dreamhouse」

2011年08月08日 01:16

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【Artist】Tides Of Man >myspace<
【Title】Dreamhouse
【Rate】9/10

Progressive / Rock / Alternative

ダンサブルなリズムの疾走と詰め込まれたリフの焦燥、そしてそれらを覆う、ナルシシズムに満ちたメロディーの陶酔。

フロリダ出身のポストハードコアバンド:Tides Of Manの2010年作となる2ndアルバム。
ポストハードコアと呼ばれるだけあり、非常に情報量の多い音楽性を持つ彼ら。トリプルギター(一人はVo.の兼任)によるアンサンブルの妙が効いたリフは特徴的で、忙しなくもスリリングです。
そしてそれ以上に目立つ、ハイトーンヴォーカル。中性的とも言えるやや線の細い声質で、ゆらゆらとしたメロディーラインを武器に歌い上げます。その声がトゲのある楽器隊と合わさることで生まれるギャップは何とも言えない含みがあり、ハートフルな要素と攻撃的な要素が混然一体となった佇まいで聴き手を翻弄してくれます。

イントロ無しで感情的な歌い上げから始まる#4「Sunshine」。始終悲痛なメロディーラインが漂い、密度の高いリフと重なります。音域の広いマスロックなリフで始まる#6「Salamanders and Worms」では、妙に牧歌的なサビの歌メロが印象的です。
また、開始5秒のあっけらかんとした明るさが目立つ#3「Home」でもそれを見事に覆し、ミステリアスな影が全体を包むクセのある一曲。

明るさと暗さがくっついてしまった様な、キャッチーの様でいて不安感を覚える音像。颯爽とした中の、この不安定さに惹かれてしまうのです。
【for fan of what ?】
前作と基本路線は同じながら、単純に今作の方がパワーアップしてます。「説得力がある」と言いますか、音一つ一つのキレが増し、複雑な曲調の重なりは破壊力抜群です。

ヴォーカルの音質や全体的な方向性からCirca Surviveのファンは是非。前のめりな「踊れ!ロック」の勢いはClosure In Moscow寄りか。Rise Recordsのレーベル買いとしても今作はアリです。
劇的メロディアスと言う意味で、この界隈の音楽はmuseを想わせたりもします。畑違いながら、うっかり気に入るかもです。

【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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This Town Needs Guns ♪「Animals」

2011年08月02日 04:01

thistownneedsguns.jpg
【Artist】This Town Needs Guns >myspace<
【Title】Animals
【Rate】10/10

Alternative / Indie

イギリス・オックスフォード出身の4人組によるデビューアルバム。2009年作です。

透き通ったクリーントーンでタッピングや速いアルペジオを駆使する、流麗・綺麗なギターフレーズ。テクニカルなポストロック・マスロックに類するサウンドの中、ジャジーながら存外に激しく芯の太いドラムが目立ち、癒しだけでなくロックな強さも併せ持っています。
そしてそんな特徴的な演奏に乗る、エモーショナルなヴォーカル。絞り出すような叙情を見え隠れさせつつ、何処か感情を抑えるような丁寧な歌声は、うつむき顔な佇まい。何とも言えない寂しさを感じさせます。

ちなみに今作は「動物たち」というアルバムタイトルに違わず、ジャケットには13の動物が描かれています。
また、曲名もそれら13の動物の名前となっていて、ジャケットの絵を眺め曲名を確認しながら聴いていると、音の端々でそれぞれの動物を想起させてくれます。
複雑なリズムの連続でばたばたと忙しない曲は、#2「Baboon(ヒヒ)」。他にも#4「Gibbon(テナガザル)」#10「Lemur(キツネザル)」と、サルの仲間達を冠した曲はみなスリリングな勢いに溢れ、ドライブ感・スピード感が前面に出ています。
#5「Rabbit(ウサギ)」はちょこまかと可愛らしく、ぐっと色を変える後半も牧歌的で爽やか。トランペットが入り悠々としたインストナンバーは#7「Elk(ヘラジカ)」で、夕焼けの長い影を作る、草原の群れのようです。そしてラストナンバーとなる密やかで短い曲は#13「Zebra(シマウマ)」。木の間からちらりと顔を見せ、しかし身体は隠れたままの様な。そんなそっけなさと共にアルバムは幕を閉じていきます。

尖ったバンド名からは想像できない、柔らかくも力強いロック。閑散とした平日の動物園を歩くような、ゆったりとした気安さと少しの物悲しさが沁みて行きます。

【for fan of what ?】
乱暴な例えをすれば、Foalsをもっと優しく悲しくした感じ、あるいはtoeに歌を入れ、そしてもう少しロックな硬さを加えた感じか。toeと土岐麻子によるHUSKING BEEのカヴァー曲「8.6」が好きな方は聴いてみる価値ありです。
ちなみに日本盤として、残響レコードから発売されていました。レーベル買い派の貴方にも安心の逸品。

また、その瑞々しいメロディーと、どこか切ない佇まいに、The Reign Of Kindoを思い出しました。共通点はそれほど多くないですが、聴きたくなる時は同じ様な気がします。

【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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