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Cynic ♪「Kindly Bent to Free Us」

2014年02月25日 21:51

Cynic_kindly_bent_to_free_us_cover.jpg
【Artist】Cynic >facebook<
【Title】Kindly Bent to Free Us
【Rate】9/10

Metal / Progressive / Fusion

強烈な余韻を残す、静かなる炸裂。
Paul Masvidal氏、Sean Reinert氏、Sean Malone氏のトリオ編成で放たれる2枚のEPを経た3rdスタジオアルバム。2014年作。

柔らかな佇まいなのに強烈な余韻を残す。聴いた時の第一印象はこうだろうか。
ひんひんとしたノイズが鳴りアルペジオと共にそろそろと幕を開ける#1「True Hallucination Speak」。オーガニックな輪郭の音と穏やかなテンポで、しかし尖りのあるフレーズを繰り出すギターに面食らう。
薄く皮膜のかかった様なヴォコーダー処理がされたヴォーカル。有機的な丸みを帯びたギターによるメタルに通じるリフ。フレットレスベースによるしなやかな低音。雄大な力強さを湛えたドラム。音圧自体は抑えた物だが、音の一つ一つに押し込められたエネルギーが無意識に絶えず訴えかけてくる。

不思議な明るさを湛えた#2「The Lion's Roar」やスペイシーなシンセの目立つ#4「Infinite Shapes」における歌メロの存在感など、異界のバラードと言いたくなる奇妙な優しさ・人懐こさが全編に一貫している。#4の中盤に挿入されるソロパートが狼の遠吠えにも似て聴こえたり、無機質な要素の中に生き物の気配を感じるのが何よりも印象的だ。

また、憂いたメロディーがどこかディストピアめいた重さを感じさせる#6「Gitanjali」やシュレッドリフの刻みがスリリングな#7「Holy Fallout」といった、メタルに接近する攻撃性を持ったパートも少なくは無い。音の質感とのギャップで、やはり奇妙な余韻を生んでいる。
ラストトラック#8「Endlessly Bountiful」はタイトルの通り"永遠に満ち満ちた"開放感が広がるアンビエント/フュージョンナンバー。ほどけるように幕を閉じていく。

【for fan of what ?】
メタルとフュージョンを正面衝突させ異次元SFを聴き手に叩きつける。それがCynic、だと筆者は思っています。
1stはそれをデスメタルを通して体現した。
2ndはそれをプログレッシヴメタルを通して体現した。
そして今作はプログレッシヴロックを通して体現した。と。
下敷きを変えただけで、やっている事は変わっていない様にも感じます。

メタルならではの高揚感に満ちた2ndからはかなり距離をとっています。しかし一方で、ギターが完全に裏方だった「Carbon-Based Anatomy」からも距離がある。EP「Re-Traced」収録の「Wheels Within Wheels」の延長線上にある印象で、休止中に活動していたプロジェクトThe Portalの方向性を改めてCynicからアプローチしたという雰囲気も。
70年代への憧憬を隠さなかったOpethの「Heritage」や、いよいよカリスマを滾らせてきているSteven Wilsonを聴いている身としては、漠然としたムーヴメントの様な物も感じてしまいます。

なお、今作はいくつかの場所でThe Beatlesからの影響が指摘されています。しかし浅学ながら筆者には分からず実に無念。

【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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Tigran Hamasyan ♪「Red Hail」

2014年02月12日 22:58

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【Artist】Tigran Hamasyan >facebook<
【Title】Red Hail
【Rate】9/10

Experimental / Jazz

東欧はアルメニア出身のジャズピアニスト:Tigran Hamasyan(ティグラン・ハマシアン)による、2009年発表の3rdアルバム。今作はピアノ・ドラム・ベース・サックス・ヴォーカルの構成を基本とし、何曲かではギターも参加している。

軽やかに跳ねるピアノに続き伸びやかな女性ヴォーカルが入る#1「Shogher Jan (Dear Shogher)」で幕を開ける今作。波打つようなリズムも変則的ながら心地良く、9分という長尺ながら、さらっとした肌触りが長さを感じさせない。ショットバーで流れていそうなオシャレなジャズピアノ、といった風情だが、どうやらアルメニアのフォークソングを基にした曲との事。ヴォーカルのメロディーはなるほど独特な浮遊感でエスニックな香りは確かにジャズのイメージではない。
そして次の曲で、さらにジャズのイメージから離れていく。
恐怖感を煽るか細いピアノから、叩きつけるような旋律でサックスが複雑なリズムでもつれにもつれる#2「Red Hail (of Pomegranate Seeds)」。シンコペーションを多用し拍子を狂わせる奇妙なグルーヴと、ヘヴィメタル、スラッジコアに通じる攻撃的な低音の応酬に、清涼感は皆無。

柔らかなタッチで幕を開けながら、中盤で豹変し不穏な空気を撒き散らす#6「Sibylla」、シンセサイザーのつるりとした音と全編に渡って泳ぎ回るサックスが印象的な#9「Part 2: Moneypulated」など、ハードロック・バップジャズ・アルメニア民謡・スラッシュメタル他、一見バラバラな音楽達から影響を受けて表現されるピアノは一筋縄では行かない。
螺旋階段を下り続けるように刻むメタリックなギターリフを主軸にした#7「Corrupt」、颯爽としたフュージョンの攻撃性を持った#11「The Awakening of Mher (Mithra)」など、ギターの参加した曲の存在感も強い。そしてどの曲にも、独特なリズム感覚が波打っている。素直にはノらせてくれないグルーヴが、なんともいえない酩酊感を誘う。

ここ数年で、メタルを内包したジャズ・ジャズを内包したジャズという視点で捉えられる作品が増えてきているように思う。そんな中で今作を聴くと「ジャズから垣間見るプログレッシヴメタルの風景」という、稀有な立ち位置を感じさせてくれる。変なピアノジャズで片付ける訳には行かない、沢山の発見が隠れた傑作。

【for fan of what ?】
Led Zeppelinのリフをピアノで弾く幼少を経て、10代の頃にはKeith Jarrettのピアノを通してアルメニア音楽に触れたという。一方でMeshuggahSystem of A Downに強く敬意を表しているTigran氏。インタビューでも「Meshuggahみたいな曲を作りたい気持ちが表出した」と語られた今作は、プログレッシヴメタルのファンに幅広くお勧めしたい。
特にFredrik Thordendal氏のソロプロジェクトが好きな方、T.R.A.M.の様な「Djazz」ムーヴメントを好むかた、Zuの様なJazzcore愛好家はゼヒ。

【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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Leprous ♪「Coal」

2014年01月18日 22:18

reprouscoal.jpg
【Artist】Leprous >facebook<
【Title】Coal
【Rate】9/10

Metal / Progressive

非現実に手を触れるような、だまし絵に似た深淵。
Ihsahnのバックバンドを務めている事でも知られているノルウェー出身の5人組による2013年作3rdアルバム。

ギターとドラムが交互に鳴る、重厚な7拍子の#1「Foe」で幕を開ける今作。3拍子の最後にタメが入る様な淡々とした行進。そのまま、声楽曲を連想する歌詞の無いコーラスに続き、長い長いリフレインがそのままアウトロとなり次の曲へ移っていく。5分超の曲だが、その大半がヴォカリーズの反復だ。
この曲に限らず、今作は何を置いても「長さ」が目立つ。10分に接近する長さの#7「Echo」での、霧が晴れるように明るさを増す中盤に至るまでの流れなど、フレーズをじっっっくりと身体に巡らせるような長いパートが曲の中心に陣取っている。それゆえに、特に一回目の視聴では非常にとっつきにくい。複雑さは無く、むしろシンプルであるにも関わらず。

いつ終わるか分からなくなってしまう程の長さ、ではあるが、そんな中で、歌のメロディーが聴かせる力として大きな存在感を放っている。
オペラ調な歌メロを主軸に据えた、ヒロイックで大仰なハイトーン。先述の通り様々な場面でヴォカリーズを聴かせ、バラード曲#4「The Cloak」ではその感傷的な力強さが全編に渡って発揮されている。

一方、珍しくグロウルが頻出する#8「Contaminate」でのポリリズミックなスラッシュリフなど、メロディーよりも複雑なリズム構成で攻めるリフが随所で睨みを利かせている。ドロドロとした音像で刻む#3「Coal」の、後半につれ無機質さを増し、有機的ヴォーカルとのコントラストをさらに強める展開など、次々と表情を変えていく攻撃性も無視できない。

ある種酩酊感を誘うような長尺主義の楽曲構成だが、パートひとつひとつは輪郭がはっきりとしている。この質感と前後関係があやふやになる不気味さの同居は、エッシャーのだまし絵を眺めている感覚に近いかもしれない。非現実に手を触れるような、人の意識に滑り込むエネルギーを孕んだ怪作と言いたい。

【for fan of what ?】
前作に引き続きPain Of Salvationなど、プログレメタルの中でもアクの強い個性を持ったサウンドに興味のある方は是非。
リズムで攻めるリフの部分はMeshuggah直系ともKing Crimson(特にアルバムThrack辺り)直系とも言える。
先に少し触れたが、サイケ・ドゥームやミニマル音楽的な展開をプログレッシブメタルのまま採用したと言った風情の曲が目立つので、ヘドバン野郎にはおいそれとお勧め出来ない。この辺りは前作と趣を異にしている印象。

Ihsahnのファンにチェックして欲しい一方、彼が過去に名を馳せたブラックメタルバンド:Emperorのファンにはやはりおいそれとお勧め出来ないオーラである。

ちなみに周辺情報的な所ですが、前作に引き続き今作のミックス担当はJens Bogren氏バンド名Opeth、バンド名Katatonia等との仕事で活躍)、そしてカヴァーアートはJeff Jordan氏The Mars VoltaT.R.A.M.等のアートワークで活躍)による物。マニアはこの情報だけでも買ってしまうのでは。
【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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Eidola ♪「The Great Glass Elephant」

2014年01月12日 23:59

eidolacover.jpg
【Artist】Eidola >facebook<
【Title】The Great Glass Elephant
【Rate】9/10

Experimental / Post-Rock / Psychedelic

ブルースとポストロックを足してジンジャーエールで割った様な、煙たくも瑞々しいサウンドの滋味。
アメリカはユタ州プロヴォ出身の6人衆による、2012年にセルフリリースされたデビューフル作。

アナログレコードのノイズ音が混ざる物憂げヨーロッパ歌謡#1「Pugna E Eterna」で幕を開ける今作。しかしこの古ぼけた歌とピアノに続く#2「Going Nowhere」が曲者。密やかなパートと情熱的な盛り上がりを行き来する展開。ヴォーカルも、しなやかな低音から切々とした高音まで幅広く、一転して洗練されたサウンドへと一気に舵を切り彼らの世界へと連れ去ってしまう。

ブルージーな無骨さとエモーショナルな瑞々しさが交錯した、独特な質感のサウンドが今作では大きく存在感を主張している。こもったトーンのギターが耳を刺激する#3「A Night With Frank Sinatra, Two Tabs Of Mescaline, And A French Tranny」では低音の効いた無骨さが前面に押し出され、切迫した高音の歌い上げとシャウトが際立つ#9「The Alchemist And The Architect」などはフックの効いたリフがこれでもかと登場し、終盤の畳み掛けはスリリングの一言。一筋縄では行かないがしかし軸となるのはアッパーチューンであり、力強い聴かせドコロを随所に配置している。

一方で反響するアルペジオの眩しさが印象的な#7「Houses Movement II: Selling Worth」や、シューゲイザーを想起する降り注ぐ様なギターが全編に散りばめられた#11「Ours」など、大きなスケールを感じさせる楽曲・パートの存在も無視できない。1曲の中での表情が変わり曲ごとのカラーもバラエティに富んでいる。どの曲から聴き始めるかで受け取り方が変わってしまいそうなほど、アルバム全体の音像はなかなかに幅広い。

ブルースとポストロックを足してジンジャーエールで割った・・・というと詩的に過ぎるだろうか。煙たく幻想的ながら、ポストハードコアの攻撃性がシャキッと利いたおいしい逸品。
【for fan of what ?】
Dance Gavin DanceのGt.Will Swan氏主宰のレーベル:Blue Swan Recordsとの契約が決まり、2014年春に新譜のリリースを計画している彼ら。この界隈のポストハードコアファンは要チェックな作品と言えます。
ポストロック×ポストハードコア、という取り合わせではThat's Ragbyを想起する一方、エモい部分に焦点を当てるとFirst Signs Of Frostが脳裏をよぎったりもします。

また余談と致しまして。ヴォーカルラインに時々Toolを連想しますがファン層が被る気はあまりしないのでこれは寝言です。

【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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I am Robot and Proud ♪「Touch/Tone」

2013年12月26日 15:50

iaraptouchtone.jpg
【Artist】I am Robot and Proud >facebook<
【Title】Touch/Tone
【Rate】9/10

Pop / Electro / Other

くたっとかわいいころころサウンド。寒い季節におこたと一緒に。
カナダはトロントのひとりエレクトロ・プロジェクトによる、2013年5th。
ひとつひとつの音がとてもキュートで、それに浸るだけでも楽しい。細かくひとつひとつに擬音語をあてがいたくなる、それぞれが魅力的の音色たち。

ファンタジーな世界でロボが起き上がる様なイントロでスタートする#1「Kresna」昼下がりを散歩しながら、町の雑多な色々や風景の肌触りが次々と視界に入ってくるような一曲です。オルゴールの音が忙しなくころころ転がり回る#4「Circles」も楽しい。どの曲も絶妙に音圧控えめで、エレクトロの鋭角的な輪郭で満ちているはずなのにどこまでも柔らかく響きます。
雪の降る情景も見えそうな#2「Touch/Tone」でさりげなく寄り添うギターや、オルゴールをふにゃんとさせた様な音色がくつろいでいる#7「Ketok Magic」のどこか都会派なシンセなど、ファンクジャズのテイストが隠し味に効いているのも楽しい。
また、スティールパンに似た音でダンサブルに跳ねる#3「Mono The Planet」や、フロッピーディスクの駆動を連想させるじりじりとした振動音を始めノイジーな#5「Nothing Normal Sounds Good」など、しゃきっとした佇まいの曲もちらほらと。

ファミコンぴこぴこなチップチューンサウンドと素朴な生音、そして時折中華風の香りを漂わせながら柔らかく拡がっていくシンセ。陶器の手触り想起させる、無機質な冷たさと人の息遣いを感じる有機的な手触りのバランスには流石の一言。そんな今作が作り上げるほっこり暖かな風景は、なるほど寒い国で生まれた音楽。冬のBGMにとてもしっくりくるのです。散歩のお供に、こたつのお供に。

【for fan of what ?】
この手のほのぼの癒しサウンドは普段あまり触れないせいであまり連想するバンド/ユニットが浮かばないの事実だったり。Serphあたりのファンはゼヒ。そう言えば最近知ったZefs Chasing Caraが、似たようなステキサウンドを鳴らしていましたよ。
また記事編集中に見つけたんですが、No.9という国内アーティストもほっこり良い感じですね。

そして追記といたしまして。
今作は国内盤が発売されており筆者はそちらを購入しています。インストの作品ということもあり特にブックレットは無いですが、ボーナストラック収録です。爪弾くギターのイントロが印象的な#11「Anathoer Nature」と、#1のイントロが一杯に拡がった#12「XT/AT」の2曲。こちらもなかなか。

【↓here is the sound !↓】 曲リストも追記にて。
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